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機織・草木染・花と木・布


この項目は、主に青木玉・著・「こぼれ種」新潮社より収録。
(版権は出版社にあります。)
青木玉・ミニ解説:お母様は幸田文、祖父は五重塔の幸田露伴。


 
 
■□ 著者が、京都に染織工芸家の志村ふくみさんを訪ねて □■



木の切り口から流れる樹液は驚くほどの色を滲ませ、これらを使ってする染織は、限りないかずかずの美しい色を出す。
それぞれの木は何のために色になるものを内に蓄えるようになったのだろう。ただ必要だけとは云い切れない不思議・・。
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■□ 織る □■


始めの杼・ひが縦糸の糸と糸の間を、軽い音をたてて滑りぬけた時から、 最後の緯・よこ糸が動きを止めるまで、織る人の心の機・はたにかけられた 緊張という縦糸に、時という糸を抱えた杼は数え切れないほど 行きつ戻りつし続けるのだ。
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■□ クサギで染める □■


白い絹の繰り糸が素早く液に浸された。熱い液の中で休まず、しかも絡まないように 糸を動かし続けることは余程の気構えがなくては出来ないと思うが、 見るところ辛さをこらえる様子もなく、作業は変わらず続けられている。 それは多分、この作業をする人は誰でも承知し抜いている熱さであり、 こらえる事が当然の熱さなのだろう。 …風に当ててさらす… みるみる変化して濁りのない青い色が現れた。
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■□ キブシの緑色の実で染める □■


キブシの液はこっくりした黄金色、それが別々の媒染液の中でやわらかなねずみに、 また暖かみのある栗色に、そして実が持っていたまじりけのない緑色に還ってゆく、 何か夢のような美しい変化である。
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■□ 生藍 □■


お庭に残されていた藍の草を摘んで汁を絞り、そのまま糸を浸された。 緑色の液から上げられた糸は空気を吸って、目の前でどこからともなく 生きもののように青くなっていった。 この染め方は藍が育って刈り取られる前にしか出来ない、 この時期ならではのものだそうである。
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■□ かめのぞき □■


うす水色、藍を染める瓶に、白い布がちらっと瓶を覗くわずかの間にうつる淡い色。 かめのぞきは藍が盛んに発酵をしているときの盛りの色ではなく、 布を染めつづけた後の、力の老いた時に出る色なのだそうな。

…命の尽きるときの名残りの色というもののようだ。 青木玉氏と、染色家・吉岡幸雄氏のお話から 。
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■□ 布になる木 □■


絵巻物:身分の有る人は絹物、下人の衣服は麻の布であったらしい。

皮を剥がれた因幡の白兎は、蒲の穂の柔らかい綿毛に包まれて、 どんなに嬉しかっただろう。 この頃の人達はきっと蒲の穂を集めて、寒さを防いでいたのかも知れない。

祝詞・のりとには「御服・みそは明たへ、照るたへ、和・にきたへ、荒たへ」とあり、 種種の布を供えて神を祭っている。

たえは梶の木の皮で織った布、布帛のすべてを「たえ」とも云っている。

明妙・あかるたえは赤い布、照妙・てるたえはつややかな布、和妙・にきたえは絹の柔らかな、 着心地の良さそうな布を思わせる。

荒妙・あらたえ、これこそが庶民の衣料であったものだろう。 木の皮を剥いで織った、丈夫が取り得の、荒々しい、着心地の良くなさそうな 布が目に浮ぶ。
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■□ 和歌 □■


民のかまどが賑い、夏の陽ざしを受けて、今ほど白くはないが洗い上げた衣類が 風にひらめいている有様を詠む・・豊になったと感じられたのだろう・・ 布は大切なものだったのだ。

葛・くず、藤といった、蔓から作った布 楮・こうぞ、科・しななどの樹皮から作られた布、 科の木の仲間に菩提樹がある。

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■□ 小千谷 □■



技術の伝承のために今も手段が講じられているのが麻。 新潟の小千谷・おぢやでは、資料の展示と、麻を織る時期には、作業を見せてもらう事も出来る。
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■□ 小千谷縮・おぢやちぢみ □■


小千谷は魚沼地方にあって、お米も錦鯉も育つところ。
小千谷縮は、JAPANTEXに毎年出展され、美しい布を見ることができる。
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■□  □■


亜麻、大麻、黄麻、マニラ麻などいろいろ有る。 縮に用いられるのは、苧麻・ちょま。 イラクサ科のカラムシ

苧引き・おびきで、白く透き通る繊維が現れ、水で洗われ、青苧・あおそになる。 乾いた青苧は真っ白な苧績み・おうみになり、寄り合わされ、接ぎ合されて、1本の糸になる。 ・・穏やかな時を経て美しい布になる・・。

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■□ 新井淳一先生 □■


桐生が生んだ世界的なテキスタイルデザイナー新井淳一先生は、 「世界中で歴史的な布や織物の技法が無くなって行く、 日本はまだ伝統技法が残っている」とおっしゃっていた。 でも急速に変化している「今」は、遠い昔の景色を、そのまま損なわずに残す事が ますます大変になってしまったように思えてしまう。
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■□ 街路樹のミニ植物園 □■


御茶ノ水の駅の傍、水道橋に下るさいかち坂の街路樹。 山桃、杏・あんず、蘇芳・すおう、枇杷・びわ、ピラカンサ、 白樫・しらかし、蜜柑・みかん、花梨・かりん。 東京の真ん中で、実のなる木に出会える。
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■□ 新木場の多羅葉・たらよう □■


昔の人のメモ帳になった木の葉。 葉は厚く艶があり、葉の裏に字を書くとはっきり跡が残る。 紙の手に入りずらい昔、役に立ったのかも?? 荒川が東京湾に流れこんで、海につながる望洋たる光景の中に有る。
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■□ 都立水元公園 □■


隅田川を渡り、中川を越して、東京と埼玉を分ける大場川が、大きく蛇行している 湿地帯を整備した公園。 東京では最も広い公園?立楊・たちやなぎの並木があり、タンポポより小さい 白い綿毛に包まれたタチヤナギの種が飛ぶ、柳じょが見られる。
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■□ ハンカチの木 □■


別名ハトノキ、ハンカチ状の白い苞・ほうが二枚、蕾を包むように大きいのが1枚と、 小さいのが1枚、風にゆれた。やがて花は開いておしべの塊になってほおけ、 白い苞は、はらはらと散った。
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