株式会社カメックス
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ふとんもイメージで語られる時代がやってきた。派手なTVコマーシャル、今風のブランド名、そしてDCブランドの登場。 もちろん、後半のページで紹介するように、そうした新しい時代への対応にもいち早く取り組んでいるが、KAMEXにとっての真実のふとんとはやはり、中身の 優れたふとんなのである。「ふとんは中身が見えないから、どんなごまかしもきく。だから、とにかく中身を、つまり 製造現場を見てほしい」───
日頃、イメージの洪水の中でアップアップしている私たち取材班は、この社長の一言で腹をくくった。そうだ、大切なのは中身なのだ。 ”ふとんは亀印だよ。あったかほっかりいいふとんじゃねえか”。
<つかこうへい作『つか出版・女大学』より>
※"亀印"とは、KAMEXの旧社名

KAMEXのふとんは、主力の群馬館林工場でつくられている。生産能力(日産)は、羽毛ふとん=200枚、羊毛掛ふとん・羊毛敷ふとん=800枚、 ざぶとん=500枚、多頭キルト=300枚、合繊ふとん=300枚、合繊ふとんわた=150kg。
問題の中身は、羽毛・ダウン、羊毛・ウール、木綿・コットン、合繊・ポリエステルの4種類に大別できるが、それぞれの特色については次のページ<ふとんを科学する>で詳述したい。

まず、社長の案内で第1工場を歩く。ちょうど、掛ふとんがラインに乗っていた。原料の綿は、メキシコから輸入されたもの。 ふとんの良し悪しは、この原料選びによって大きく左右される。メキシコ綿は、センイが長くて弾力性がある。だから、寝心地を重視する ふとんにはもってこいなのだ。敷ふとんにはインドから輸入されたデシ綿が使われていた。
 ラインの流れを説明すると、まず綿を機械でフワフワになるまでほぐす。ほぐした中綿を 自動成型機でふとんの形に整え、自動綿入機でカバー状の生地の中へ。そいつをロボットみたいなソーイング・マシンがドドドドっと 縫い上げ、最後はステッチやキルト縫いをしてできあがり。こう書くと簡単そうだが、ラインの中には数千万円もするどでかい機械が 何台も組み込まれていて、連日真実のふとんづくりを支えているのである。


生まれて初めてふとんづくりの現場を見て「う〜む」とうなっていると、「第3工場には羊毛ふとん用のスチーム・ドライという 最新鋭機がある」という社長のおコトバ。早速、その挑戦を受けてたつことにした。

羊毛も綿と同じく、センイが太く縮れているのがふとんに適している。工場の搬入口には、ちょうどフランス産の羊毛 (1包み300kg!)が運び込まれているところだった。大まかな工程の流れは綿ふとんと同じだが、羊毛の場合、適度な水分と 熱を加えると保温性を増し固まりにくくなるという特性をもつ。そこでウールマーク・国際羊毛事務局が世界的に見ても優れたスチーム・ドライ装置 を開発し、KAMEXはそれを素早く導入したというわけなのである。(ちなみに、羊毛にとってのベストの水分は湿度17%)。

 第4工場では、羽毛ふとんもつくられていた。 こちらは選別されたダウンをコンピュータで計り、ホースで吸い上げ、カバーの中に吹き込むという仕組み。 ちなみに、1枚のふとんに要する1.5kgのダウンは150羽の水鳥からの贈り物。ゆめゆめ、おろそかに扱ってはならないのだ。

  KAMEXの設備投資は活発で、近々第2工場の設備入れ替えも予定している。「これが完了すると業界トップになれるんじゃなかな」と、 社長はニンマリ笑った。企業秘密もあって詳述はできないが、群馬工場の中には人工工学に基づいてふとんのまん中を厚くするという 世界初のマシンもあるし、利益の25%を投入した防塵設備もある。また、各種のロボット化を研究機関に依頼するなど “いいふとんをつくるための環境づくり”にはあらゆる投資を惜しまないという。

工場取材を終えた数日後、社長がモンゴルへ飛ぶというニュースが入ってきた。先の-40℃の大寒波の際に日本ふとん協会を通じて大量のふとんを 贈った功績に対し、大使館から直々の感謝状が届いたのだという。そういえば「日本のふとんがモンゴルの病院で産まれたばかりの赤ちゃんとお母さんに役立つなんて素敵だ!」 って笑ってたっけ。社長の視察旅行と同じく、KAMEXの“真実のふとんを求める旅”は永遠に続くのである。
文責・ライターY

 

群馬工場の一面で活躍する座ぶとんロボットは、KAMEXが某メーカーと協力して独自開発したもの。成型のために、はさんで→叩く、 はさんで→叩く。この工程のロボット化で、年間約12万25000枚の生産量を少人数で支えることが可能になった。